錆びない体づくりの科学|抗酸化成分は「組み合わせ」と「摂り方」で活きる
「この子には、少しでも元気で長生きしてほしい」——愛犬・愛猫と暮らす誰もが抱く、いちばん素直な願いだと思います。
その願いに応えるために、私たちにできることのひとつが、体の「サビつき」をゆるやかにすること。呼吸で取り込んだ酸素の一部は、体をサビさせる活性酸素に変わり、細胞を少しずつ傷つけていきます。この酸化ストレスをやわらげるのが、抗酸化成分の役割です。
抗酸化に良い成分——ビタミンCやE、コエンザイムQ10、カロテノイド——の名前は、これまでのコラムでもお伝えしてきました。でも、ここでもう一歩踏み込みたいのです。じつは抗酸化成分は、「何を摂るか」だけでなく、「どう組み合わせ、どう摂るか」で、そのはたらきが大きく変わります。
この記事は、抗酸化の”実践編”です。なぜ単独では不十分なのか、成分同士がどう助け合うのか、そして食事でどう組み合わせればいいのか。少し専門的ですが、知っておくと毎日のごはんの見え方が変わる、深い話をお届けします。(酸化ストレスやエイジングケアの基本については、以前の記事もあわせてどうぞ。)
抗酸化成分は「チーム」で働く
まず、いちばん大切な考え方からお伝えします。それは、抗酸化成分は、単独ではなくチームで働くということです。
意外に思われるかもしれませんが、抗酸化成分は、活性酸素と戦うと自分自身が酸化されて”疲弊”します。たとえばビタミンEは、活性酸素の攻撃を自分が引き受けることで細胞膜を守りますが、その身代わりになったぶん自分が酸化され、そのままでは抗酸化力を失ってしまいます。むしろ、酸化されたビタミンEは、そのままだと逆に体を酸化させる側に回ってしまうこともあるのです。
ここで登場するのが、仲間の抗酸化成分です。酸化して疲れたビタミンEを、ビタミンCが再生(もとの元気な状態に戻す)してくれます。そしてビタミンC自身も、戦って疲れると、グルタチオンやαリポ酸といった別の仲間によって再生されます。
このように、複数の抗酸化成分がバトンを渡し合い、互いを再生しながら活性酸素を消していく——この協力体制を、「抗酸化ネットワーク」と呼びます。ひとつの成分をたくさん摂るより、複数の成分がそろっているほうが、チーム全体として力を発揮できるのです。
水溶性と脂溶性|「守る場所」が違う
抗酸化ネットワークを理解するうえで、もうひとつ大事なのが、成分によって「働く場所」が決まっているということです。
体は、水の部分(血液や細胞の内側の液体)と、油の部分(細胞膜など脂でできた場所)でできています。そして抗酸化成分は、水に溶けるか油に溶けるかで、守れる場所が変わります。
水に溶けるタイプ(水溶性)
ビタミンC、グルタチオンなど。血液や体液にのって、細胞の外側や水の部分で活性酸素と戦います。
油に溶けるタイプ(脂溶性)
ビタミンE、コエンザイムQ10、カロテノイド(βカロテン・アスタキサンチンなど)。細胞膜やミトコンドリアの膜など、脂の部分を守ります。
どちらでも働ける、特別なタイプ
αリポ酸は、水にも油にも溶けられる希少な成分で、両方の場所で働けるうえ、ビタミンCもEも再生できる”万能の再生役”として知られています。
大切なのは、水の場所も、油の場所も、両方カバーすること。ビタミンCだけたっぷり摂っても、油の部分(細胞膜)は守りきれません。水溶性と脂溶性の両方をそろえてはじめて、体をまるごと守れるのです。「いろいろな抗酸化成分をバランスよく」という言葉には、こうした裏づけがあります。
再生し合う、抗酸化リレー
ここで、代表的な抗酸化成分が、どう助け合っているのかを見てみましょう。バトンをつなぐリレーのような関係です。
| 成分 | 溶けやすさ | 主な役割 |
|---|---|---|
| ビタミンC | 水溶性 | 水の場所で戦う/ビタミンEを再生する |
| ビタミンE | 脂溶性 | 細胞膜を守る/Cに再生してもらう |
| コエンザイムQ10 | 脂溶性 | 膜を守る/Eの再生も助ける |
| グルタチオン | 水溶性 | 体内の”司令塔”。C含む仲間を再生する |
| αリポ酸 | 両方 | C・E・グルタチオンなどを再生する万能役 |
| カロテノイド | 脂溶性 | 膜や脂質を、独自のしくみで守る |
この表から見えてくるのは、それぞれが「戦う役」と「再生する役」を分担していること。ビタミンEが前線で戦い、ビタミンCが後ろから再生し、そのCをグルタチオンやαリポ酸が支える——という具合に、幾重にも支え合っています。
だからこそ、「この成分さえあれば」という発想より、チーム全体をそろえる発想が、錆びない体づくりには理にかなっているのです。
食事で、どう組み合わせる?

理屈がわかったところで、いちばん知りたいのは「じゃあ、毎日のごはんでどうすればいいの?」ということですよね。難しく考えなくて大丈夫。ポイントは3つです。
① 色とりどりの食材を、少しずつ
抗酸化成分の多くは、食材の”色”に含まれています。赤(トマトのリコピン、鮭のアスタキサンチン)、橙(にんじん・かぼちゃのβカロテン)、緑(ブロッコリー・小松菜のルテインやビタミン)、黄——と、いろいろな色の食材を少しずつ添えるだけで、自然と多様な抗酸化成分がそろい、ネットワークが組みやすくなります。「お皿がカラフルになるように」が、いちばんシンプルな合言葉です。
② 脂溶性の成分は、油と一緒に
ビタミンEやカロテノイドは脂溶性なので、良質な油や脂を含む食材と一緒にとると吸収されやすくなります。たとえば、緑黄色野菜に少しの魚油を垂らす、といったひと手間が効きます。青魚(オメガ3もとれる)や、ビタミンE豊富な食材を組み合わせるのもよいでしょう。
③ 野菜は刻む・加熱で、中身を取り出す
以前のコラムでもお伝えしたように、犬や猫は野菜の細胞壁の中の栄養をそのままでは取り出しにくいもの。細かく刻んだり加熱したりすると、中の抗酸化成分を吸収しやすくなります。
具体的な”相性のいい組み合わせ”の一例を挙げると——緑黄色野菜(ビタミンE・カロテノイド)+魚(アスタキサンチン・良質な脂)+彩りの野菜(ビタミンC)。これだけで、脂溶性と水溶性、戦う役と再生役が、ほどよくそろいます。総合栄養食を土台に、こうした彩りをトッピングとして少し添える、というのがいちばん無理のない形です。
とはいえ、毎日いろいろな色の食材をそろえるのは、なかなか大変なもの。そんなときは、複数の植物素材をまとめたパウダーを少し足すのも、手軽な方法のひとつです。たとえばmipetの「ナパーニ ヴィタールミックスビオ」は、大麦・ブロッコリー・モリンガ・バオバブ・スピルリナ・ローズヒップなどのオーガニック植物をブレンドしたサプリメント。ビタミンをはじめ、いろいろな植物由来の栄養を含むので、いつものごはんにひとさじ加えるだけで、体をサビにくくする彩りを手軽に添えられます。特定の成分をたくさん、ではなく、多様な素材を少しずつ——という、この記事の考え方にも合った取り入れ方です。
「良い成分だから、たくさん」が危ない理由
最後に、これは特に知っておいてほしい、大切な話です。抗酸化成分は、「体にいいから、単独で大量に」摂ればいい、というものではありません。
思い出してください。抗酸化成分は、活性酸素と戦うと自分が酸化されます。ネットワークで再生されればいいのですが、ひとつの成分だけを大量に摂って、それを再生する仲間がいないと、酸化された抗酸化成分が、逆に体を酸化させる側に回ってしまうことがあります。これを「プロオキシダント作用(抗酸化物質が、逆に酸化を促してしまう作用)」と呼びます。
実際、人の研究では、βカロテンを高用量のサプリメントで単独・大量に摂ったグループで、かえって良くない結果が報告された例もあります。「良い成分ほど、単独で大量に」は、むしろ逆効果になりかねないのです。
ここでも、答えは同じところに戻ってきます。特定の成分に偏らず、食材から、いろいろな成分をバランスよく。これが、抗酸化を安全に活かす、いちばん確かな道です。サプリメントを取り入れる場合も、単独の成分を大量に、ではなく、複数の成分が組み合わされたものを適量で、という考え方が安心です。持病がある子や、療法食を食べている子は、取り入れる前にかかりつけの獣医師に相談してください。
まとめ|「点」ではなく「チーム」で守る
錆びない体づくりで大切なのは、ひとつの優れた成分を探すことではなく、複数の抗酸化成分がチームとして働ける状態を整えることでした。
抗酸化成分は、戦うと疲弊し、仲間に再生してもらいながら活性酸素を消していく——これが抗酸化ネットワーク。水の場所を守る成分(ビタミンC・グルタチオン)と、油の場所を守る成分(ビタミンE・CoQ10・カロテノイド)、そして両者を再生するαリポ酸。それぞれが役割を分担しています。
だから、毎日のごはんでは「色とりどりの食材を、脂と一緒に、刻んで・加熱して、少しずつ」。そして「良い成分だから単独で大量に」は避けること。この考え方が、その子の体を、内側からゆっくりと支えてくれます。
歳を重ねること自体は、止められません。けれど、その歩みに寄り添い、少しでもゆるやかにしてあげることは、毎日の小さな心づかいでできます。今日のお皿に添えた赤や緑のひとさじが、いつまでも元気でいてほしいというあなたの願いを、静かに形にしてくれます。その積み重ねが、一日でも長く続く、健やかな毎日につながっていきます。
食事の土台に、ミネラルの視点も

抗酸化ネットワークを支えるのは、ここまでお話ししてきたビタミンやカロテノイドだけではありません。じつは、それらの栄養がきちんと吸収され、体のすみずみまで運ばれることも、同じくらい大切です。どんなに良い成分をそろえても、体で活かされてこそ意味があるからです。
その”運ぶ・活かす”を支える存在として、近年注目されているミネラルのひとつがケイ素(珪素)です。ケイ素は、骨や皮膚、被毛、血管など、体のあらゆる組織に関わるミネラルで、私たちも犬猫も、本来は野菜や海藻、天然水などの食事から取り入れています。ただ、現代の食生活では十分に摂りにくくなっているとも言われます。
mipetでは、この水溶性のケイ素を手軽にとり入れられる「UMO SPARK 水溶性珪素」をご用意しています。飲み水に数滴たらすだけで、犬にも猫にも、そして飼い主さんご自身も一緒に使えるのが特徴です。ミネラル豊富な硬水のような風味で、味の変化が少なく、続けやすいのもうれしいところ。錆びない体づくりを、食事の彩りとあわせて内側から考えたい方に、ひとつの選択肢としておすすめです。
※ ケイ素をはじめとするサプリメントは、栄養補助を目的とするもので、病気の治療や予防を目的とするものではありません。
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