犬猫の“脈”って家でも分かる?|知っておきたい脈拍の測り方
愛犬・愛猫の心臓が、1分間に何回動いているかを知っていますか。実は聴診器がなくても、後ろ足の付け根にそっと指を当てると、“脈”を感じられることがあります。
脈拍を毎日測る必要はありません。それでも、元気で落ち着いている時に一度触れてみて、「この場所で分かるんだ」「この子はこのくらいなんだ」と知っておくことは、いつもの様子を知るヒントになります。
この記事では、犬猫の脈とは何か、家庭での触れ方と数え方、数字だけでは判断しないための見方を紹介します。ぐったりしている、呼吸が苦しそうなど、緊急時に優先したいこともあわせてお伝えします。
「脈」は、心臓から届く血液の波
心臓が収縮して血液を送り出すと、その圧が動脈を伝わります。その動脈がリズミカルに広がる動きを、指先で感じているのが脈です。
つまり、脈は心臓そのものを触っているのではなく、心臓から送り出された血液の波を触っています。
犬猫では、後ろ足の付け根を通る大腿動脈(だいたいどうみゃく)で脈を確認するのが一般的です。人のように首の脈を探すより、まずは後ろ足の内側で探す方が分かりやすいでしょう。
どこを触ればいい?

愛犬・愛猫がリラックスして横になっている時や、静かに休んでいる時に試してみましょう。
後ろ足を無理に広げず、太ももの内側から足の付け根あたりへ、人差し指と中指の腹をそっと当てます。少しずつ指を動かして、「トク、トク」と規則的に触れる場所を探します。
触る時のポイントはこちらです。
– 親指ではなく、人差し指と中指を使う
– 強く押し込まず、指先の力を少しずつ加減する
– 触れにくい時は、指の位置を数ミリずつずらす
– 左右どちらも、元気な時に一度ずつ試してみる
親指には自分自身の脈を感じやすいため、犬猫の脈と混同しないようにします。
初めてだと分からなくても、心配しすぎないで
筋肉質な犬、体格の大きい子、皮下脂肪が多い子、緊張している猫、じっとしていられない子では、脈を触れにくいことがあります。指を強く押しすぎても、かえって血管を圧迫して分かりにくくなります。
元気な子で脈をうまく見つけられないからといって、「脈がない」ということではありません。触り方や体格によることも多いため、落ち着いた別の機会に試してみましょう。
ただし、倒れている、反応が鈍い、呼吸が苦しそうといった緊急性のある様子があり、脈も明らかに弱い・触れない時は別です。後半の「すぐに受診を優先したいサイン」を確認してください。
脈拍数は、どう数える?
脈を触れたら、落ち着いている時に15秒間の回数を数え、4倍すると1分間のおおよその脈拍数になります。
たとえば、15秒で20回なら、20×4で1分間に約80回です。もう少しゆっくり確かめたい時は、30秒間数えて2倍してもよいでしょう。
健康管理のために比べるなら、毎回なるべく同じ条件で測ることが大切です。「夜、寝る前にベッドでくつろいでいる時」のように、その子が落ち着きやすい時間を決めておくと、変化を見つけやすくなります。
犬猫の脈拍数は、どのくらい?
安静時心拍数の参考値として、犬はおよそ70〜120回/分、猫はおよそ120〜140回/分が示されています。一般に、小型犬は大型犬より心拍が速い傾向があります。
ただし、これはあくまで安静時の目安です。運動、興奮、緊張、痛み、暑さなどで脈拍は速くなります。とくに猫は緊張の影響を受けやすく、病院では心拍数が180〜220回/分ほどになることもあります。
一度だけの数値を見て、「120を超えたから異常」と判断することはできません。測る時の状況と、その後の様子を合わせて考えましょう。
大切なのは、「正常値」より“いつものその子”
たとえば、毎回同じように落ち着いている時間に80〜90回/分ほどだった犬が、最近は同じ条件でも130回/分前後になっている。一般的な参考範囲に近い数字であっても、その子にとっては変化かもしれません。
反対に、散歩直後や遊んだ直後だけ脈が速いなら、体が活動に合わせて反応している可能性があります。
大切なのは、数字を一度測って良い・悪いを決めることではありません。元気な時のその子の傾向を知り、同じ条件で見た時に変化が続いていないかを見ていきましょう。
回数だけでなく、リズムや強さも見てみよう
脈を触れたら、回数だけでなく、「トク、トク、トク」とおおむね規則的か、拍ごとに大きく抜けたり弱くなったりしていないかも、そっと感じてみます。
犬では、呼吸に合わせて心拍が少し速くなったり遅くなったりする、呼吸性洞性不整脈(こきゅうせいどうせいふせいみゃく)が安静時に見られることがあります。そのため、少し間隔が変わるからといって、すぐに心臓病とは限りません。
また、脈の強さは、触れる指の位置や力でも変わります。「少し弱い気がする」という感覚だけで、血圧や心臓の病気を家庭で判断することはできません。リズムが明らかに不規則に感じる、いつもと違う弱さが続く、失神や呼吸の変化を伴う時は、動画やメモを持って獣医師へ相談しましょう。
心拍数と脈拍数は、いつも同じ?
健康な犬猫では、心臓が一回収縮すると血液が送り出され、その波を脈として一回感じます。そのため通常、心拍数と脈拍数はほぼ同じです。
一方で不整脈などでは、心臓が拍動しても、足先まで十分な血液の波として届かず、脈に触れないことがあります。これを脈拍欠損(みゃくはくけっそん)といいます。
ただし、これは心臓の音と大腿動脈の脈を同時に確認して判断するもので、家庭で脈だけを触って見分けることはできません。獣医師が心臓と脈の両方を確認するのは、拍動の回数だけでなく、血液が送り出されている状態も見ているためです。
脈だけでなく、呼吸や歯ぐきも一緒に見る
脈は、全身の状態を知る手がかりの一つです。気になる時は、次のような様子も合わせて見ましょう。
– 呼吸が速すぎないか、苦しそうではないか
– 歯ぐきがいつものピンク色か
– 呼びかけへの反応や元気が普段どおりか
– 耳や足先など、体がいつもより冷たく感じないか
脈が弱い、歯ぐきが白っぽい、ぐったりしているといった複数の変化が重なる時は、「脈がいつもより遅い・速い」だけの問題として様子を見ないことが大切です。
こんな時は、測るより受診を優先して
次のような様子があれば、1分間の脈をきっちり数えることよりも、まず動物病院へ連絡・受診することを優先してください。
– 倒れた、失神した、意識や反応がおかしい
– 呼吸が苦しそう、口を開けて必死に呼吸している
– 歯ぐきや舌が白っぽい、灰色、青紫色に見える
– ぐったりして立てない、反応が鈍い
– 明らかに脈が弱い、または触れない
– 失神のようなことを繰り返す
このような時は、安全を確保して、起きた時間や様子を病院へ伝えましょう。可能な状況なら短い動画も手がかりになりますが、撮影のために受診を遅らせないでください。動画で残すと役立つ犬猫の“動き”も、いざという時の記録のヒントとしてご覧ください。
スマートウォッチやアプリの数値は、参考までに
人用のスマートウォッチやスマートフォンのアプリを犬猫に当てて表示される数値は、犬猫での精度が保証されているとは限りません。被毛、体の動き、測る場所、犬猫の心拍の速さなどにも影響されます。
便利な機器を否定する必要はありませんが、表示された数字だけで体調を判断せず、まずは指で脈を触ること、その時の呼吸や元気を一緒に見ることを基本にしましょう。
記録は、義務にしすぎなくて大丈夫
健康な犬猫なら、毎日脈を測らなければいけないわけではありません。
元気な時に何度か触ってみる。その子のだいたいの脈拍と、触れやすい場所を知る。月に一度など無理のない頻度で、安静時の脈拍、呼吸数、体重を同じ条件で記録する。そんな続け方で十分です。
animand(アニマンド)では、ヘルス記録のメモに脈拍数と測った時の状況を残しておくのもよいでしょう。「一般的な正常値か」だけでなく、その子自身の推移を見返しやすくなります。
まとめ|元気な時の脈を知ることが、変化に気づく力になる
犬猫の脈は、後ろ足の内側にある大腿動脈で、家庭でも感じられることがあります。脈拍の回数は一つの目安になりますが、運動や緊張などでも変わるため、数字だけで体調を決めることはできません。
毎日測る必要はありません。でも、元気な時に一度触ってみて、「この場所で脈が分かるんだ」「うちの子はこのくらいなんだ」と知っておく。それだけでも、いつか体調が変わった時に気づける情報が一つ増えます。
健康管理で大切なのは、一般的な正常値を覚えることだけではなく、元気な時のその子を知っておくことなのだと思います。
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