犬を撫でるなら、どこを触ると喜ぶ?|“撫でられたい場所”は犬が教えてくれる
愛犬を撫でる時間は、飼い主さんにとってもうれしいひとときです。「耳の後ろをかくと気持ちよさそう」「胸を撫でると体を寄せてくる」など、その子らしい好みを見つけている方も多いでしょう。
ただし、犬はみんな同じ場所を撫でられるのが好きなわけではありません。飼い主さんには触らせるけれど知らない人は苦手、その日は甘えたいけれど今は休みたいなど、相手や状況、気分によっても反応は変わります。
この記事では、比較的触れ合いやすい場所と慎重にしたい場所、犬の「もっと」「もうやめて」を受け取る方法を紹介します。
犬が喜ぶ場所に、万能な正解はない
ペッティングを好む犬はたくさんいます。一方で、誰から、どんな時に、どこを触られるかによって、心地よさは変わります。
比較的、犬が受け入れやすいことが多いのは、胸の前、肩まわり、首の横、体の側面などです。ただし、これはあくまで傾向です。背中が好きな子もいれば、胸を撫でられる方が落ち着く子もいます。
「この場所なら必ず喜ぶ」と決めず、犬が自分から体を寄せてくる場所を優先することが大切です。
頭の上から手を出すと、苦手な犬もいる
人はつい、犬の頭を撫でたくなるかもしれません。しかし犬によっては、頭の真上から手が近付く動きや、頭を触られることを負担に感じます。
犬の撫でられ方を調べた研究では、頭まわりや足先への接触で、舌をペロッと出す、あくびをする、別のものを嗅ぐといった、なだめ行動や転位行動が目立つ傾向が見られました。すべての犬が頭や足先を嫌がるわけではありませんが、反応をよく見る場所といえます。
知らない犬と触れ合う時は、頭の上から急に手を伸ばさず、犬自身が近付いてくるのを待ちましょう。胸や肩のあたりへ、短くやさしく触れるところから始めると安心です。
足先・耳・口元・しっぽは、“撫でる”より“慣らす”

足先、肉球、耳、口元、しっぽは、敏感な犬が多い場所です。爪切り、耳のケア、歯みがき、診察でも触れられるため、日頃から少しずつ触れられる練習をしておくと健康管理に役立ちます。
ただし、ケアのために触れられるようにすることと、犬が撫でられて喜ぶことは別です。触らせてくれるからといって、長く握ったり、引っ張ったりしないようにしましょう。
昨日まで平気だった場所を急に嫌がる時は、わがままと決めつけず、皮膚、耳、歯、首、腰、関節などに痛みや違和感がないかを考えるきっかけになります。様子が続く時は動物病院へ相談してください。
お腹を見せたら、「撫でて」なの?
仰向けになってお腹を見せる犬を見ると、「お腹を撫でてほしいのかな」と思いやすいものです。実際に、お腹を撫でられるのが好きな犬もいます。
一方で、お腹を見せる姿勢には、緊張をやわらげようとする気持ちや、相手に敵意がないことを示す意味が含まれる場合もあります。体が固い、しっぽを巻き込む、顔をそらす、耳を後ろへ倒すといった様子があれば、撫でるよりそっとしておきましょう。
お腹を見せているかどうかだけで判断せず、表情、体の力の入り方、耳、しっぽ、その前後の状況を合わせて見ます。
喜んでいる時は、“自分から”近付いてくる
撫でられることを楽しんでいる犬では、次のような様子が見られることがあります。
– 体の力が抜け、やわらかい姿勢をしている
– 自分から近付いたり、手に体を寄せたりする
– 手を止めると、鼻や体で手に触れてくる
– 撫でてほしい場所をこちらへ向ける
– 目元や口元がやわらかく、落ち着いている
しっぽを振っていることもありますが、しっぽを振ることだけで「うれしい」とは決められません。体全体がゆるんでいるか、その子が自分から関わろうとしているかを見ましょう。
「もうやめて」も、犬からの大切な返事
犬は言葉ではなく、体全体で気持ちを伝えます。次のような様子があれば、いったん手を止めて距離を取る合図かもしれません。
– 顔や体をそらす、離れようとする
– 舌をペロッと出す、あくびをする
– 耳を後ろへ倒す、しっぽを下げる
– 口元が固く閉じる、体が固まる
– 白目が見える、こちらをじっと見つめる
あくびや舌なめずりは眠い時や食後にも見られます。ひとつのしぐさだけで意味を決めつけず、触れた直後に出たか、体が緊張していないかなど、全身と状況を合わせて受け取りましょう。
特に覚えておきたいのは、じっとしている=気持ちいい、とは限らないことです。動かず固まることで、「困っている」「離れたい」を伝えている犬もいます。
迷ったら“3秒ルール”で聞いてみよう
犬の気持ちを確かめる簡単な方法として、2〜3秒だけ撫でて、一度手を止める方法があります。厳密な医学的ルールではありませんが、犬に「続ける」「やめる」を選んでもらうための、やさしい習慣です。
- 犬が自分から近付いてきたら、胸や肩を2〜3秒やさしく撫でます。
- いったん手を止め、犬の反応を見ます。
- 体を寄せる、手に鼻を付ける、同じ場所を向けるなら、短く続けます。
- 顔をそらす、離れる、反応がない、体が固くなるなら、その時は終わりにします。
最初は続けたがっていても、途中で気分が変わることはあります。何度か手を止めながら、その時々の返事を聞きましょう。
抱きしめることは、撫でることとは少し違う
人にとってハグは愛情表現ですが、犬にとっては体を拘束される行為になることがあります。飼い主さんとのハグが平気な犬もいますが、知らない犬にいきなり抱き付いたり、逃げられないように抱え込んだりしないでください。
大好きだから触りたい時こそ、犬が離れられる場所で、犬が選べる触れ合い方を心がけましょう。小型犬も、気軽に抱き上げるのではなく、まずは自分から来るかを見てあげると安心です。
子どもと犬が触れ合う時に大切なこと
子どもが犬と関わる時は、大人がそばで見守ることが必要です。次のことを、家族で同じ約束にしておくと安心です。
– 寝ている犬には触らない
– 食べている時やガムを噛んでいる時は近付かない
– 顔を近付けない、抱き付かない
– しっぽ、耳、足を引っ張らない
– 犬が逃げたら追いかけない
– 犬が固まった時も、「おとなしくしている」と決めつけない
「何をしても怒らない犬」にしようとして、食事中に何度も触る必要はありません。犬が安心して食べ、休める場所と時間を守ることも、家族との信頼につながります。
撫でる時間は、体の変化に気付く時間にもなる
犬をそっと撫でることは、コミュニケーションになるだけでなく、皮膚のしこり、傷、被毛の変化、左右差、痛がる場所などに気付く機会にもなります。
ただし、スキンシップだからと、嫌がる場所を無理に確認し続ける必要はありません。いつもと違う触られ方を嫌がる、急に痛がる、触らなくても気にしている場所がある時は、無理に触らず動物病院へ相談しましょう。
まとめ|大好きだから、犬の返事を聞く
犬が撫でられて喜ぶ場所に、すべての子に当てはまる正解はありません。胸や肩まわりは受け入れられやすいことがありますが、いちばん大切なのは、その子が今どう感じているかです。
数秒撫でて手を止め、近付いてくるなら続ける。顔をそらしたり離れたりするなら、そっと終わりにする。そんな小さなやり取りが、犬に「気持ちを聞いてもらえた」という安心を届けます。
撫でることは、こちらの愛情を伝えるだけではなく、犬の「今は触ってほしい」「今はやめて」を聞くコミュニケーションでもあります。大好きだから触りたいだけでなく、大好きだから触られたくない時も尊重していきましょう。
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